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各疾患の基本方針

1.虚血性心疾患 (心筋梗塞・狭心症)

冠動脈パイパス術(CABG): 冠動脈狭窄・閉塞に対して、カテーテルを用いた風船治療・ステント留置術(PCI)治療が困難な症例または手術が適当であると診断された症例を手術の対象としています。積極的に動脈(左右内胸動脈、橈骨動脈、右胃大網動脈)をバイパスの血管(グラフト)として用いています。

心拍動下冠動脈バイパス術(オフポンプ冠動脈バイパス術 OPCAB): 当医療センターでは、人工心肺を用いない冠動脈バイパス術(心拍動下冠動脈バイパス術:オフポンプ冠動脈バイパス術)を第一選択としています。この術式は、重症脳血管病変、上行大動脈の動脈硬化病変の高度な症例、腹部大動脈瘤同時手術例、高齢者、その他の重症合併患者に対しては、特に有用な冠動脈バイパスの方法と言われています。 最近は、予定して冠動脈バイパス手術のみ行う場合、78%の症例に心拍動下手術を行ってきました。また、冠動脈の状態、心機能の状態、手術術式によっては、従来どおりの、人工心肺を用いた冠動脈バイパスも行っています。

左室形成術(いわゆるDor手術、SAVE手術): 前壁中隔領域の心筋梗塞のために心室瘤を形成している低心機能の症例に対して、遠隔期の心機能の改善を目的に、冠動脈バイパス術に加えて左室縮小形成術を行っています。

2.心臓弁膜症

大動脈弁疾患: 大動脈基部の拡大に伴う大動脈弁閉鎖不全症に対しては、可能な限り大動脈弁を温存した大動脈基部置換術を行っています。これにより、人工弁を用いずに手術可能です。

僧帽弁疾患: 僧帽弁狭窄症に対しては、可能な限り経皮的僧帽弁裂開術(PTMC:風船付きカテーテルで僧帽弁口を開きます。内科医が行います。)または、直視下僧帽弁交連切開術を行いますが、不可能な症例では僧帽弁置換術を行います。僧帽弁閉鎖不全症に対しては、リュウマチ性の場合は多くの場合、耐久性から形成術は行わず弁置換術を行いますが、変性疾患(僧帽弁逸脱症等)では、積極的に自己弁を温存する僧帽弁形成術を行っています。

3.先天性心疾患

心房中隔欠損症など成人例に対して手術を行っています。

4.不整脈に対する手術

心房細動に対する手術: 弁膜症に合併した心房細動は、手術後の生活のQOL(Quolity of life:生活の質)に大きく関与します。当科では、心房細動に対するメイズ手術・肺静脈隔離術・左心耳閉鎖術を、積極的に弁膜症手術と同時に行っています。

5.大血管・動脈疾患

上行大動脈瘤: 径5~5.5cm以上は手術適応としています。大動脈弁狭窄症に伴う上行大動脈の拡大は径4.5cm以上の場合、人工血管置換を行います。 大動脈弁輪拡張症では、65歳以下では、可能な限り自己弁温存大動脈基部置換術を行っています。

弓部大動脈瘤: 径6cm以上を手術適応とし、4分枝付き人工血管を用いて、弓部大動脈全置換術を行っています。手術中、体幹部と脳とは別のポンプで血液を送る低体温下選択的脳分離体外循環法を用いています。この方法は現在では術式が確立し、脳合併症の頻度も低く、安定した成績が得られています。

下行大動脈瘤: 径5~6cm以上を手術適応としています。

胸腹部大動脈瘤: 胸と腹を分けている横隔膜を一部分切開して視野を得なければならない大手術です。径5.5cm以上を手術適応としています。

腹部大動脈瘤(腎動脈分岐下): 上行から胸腹部大動脈瘤は人工心肺を用いますが、この疾患では、人工心肺を必要としません。径4.5cm以上を手術適応としています。冠動脈疾患の合併率が高いため、術前冠動脈造影検査を行い、もし冠動脈疾患を合併していた場合には、必要に応じて同時手術を行っています。
輸血量を減らすために、自己血回収装置を用いています。

急性大動脈解離: 発症から14日以内の上行大動脈に解離のある症例(Stanford A型)では一部の症例を除き、突然死の危険を避けるため、昼夜を問わず緊急手術を行っています。広範囲に解離の存在するタイプ(DeBaKeyI型)では、上行弓部置換術およびオープンステントグラフト内挿術を積極的に行っています。 上行大動脈に解離が存在しない症例(Stanford B型)では、基本的には降圧療法を行いますが、破裂例、分枝灌流不全を合併した症例(Complicated type B)に対しては、積極的に緊急手術・胸部ステントグラフト内挿術を行っています。

慢性大動脈解離(解離性大動脈瘤): 症例に合わせ手術適応を決定していますが、径5.5~6cm以上は手術適応としています。

6.ステントグラフト内挿入術

当院のステントグラフト内挿入術について詳細へ→リンクはこちら

7.末梢動脈疾患

慢性閉塞性動脈硬化症による間歇性跛行や安静時疼痛に対して、血管バイパス術を行っています。なお、当院循環器内科でも、積極的に下肢動脈閉塞・狭窄に対してカテーテル治療を行っています。