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治療について

主な呼吸器疾患の診療について簡単にご説明します。

1.肺がん

肺がんは非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分類されます。肺がんの組織型、病期、遺伝子変異の有無等によって治療は異なりますが、肺がんの治療の柱は、手術、放射線療法、(細胞障害性)抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬です。肺がんは治療が難しく我が国の悪性腫瘍による死因の第1位です。当院では、呼吸器内科、呼吸器外科、腫瘍内科、放射線治療科の医師10数名で、定期的(毎週)に治療方針の検討を行っており、患者さんに応じた最適な治療法を選択できるようにしています。冒頭でも記載いたしましたが、臨床検査科(病理)の協力も得て肺がんの一部の遺伝子検索を院内で施行し、診断および治療方針決定までの時間短縮を図っています。

当科では、ステージが進み全身状態が不良な方や再発した場合でもご本人・ご家族と相談し、QOL改善と生存期間延長に努めています。近年の治療薬の発展に伴ないさらに、緩和サポートチームと協力してがん性疼痛などの症状緩和に努めています。

また、当科では肺がんのセカンドオピニオンを受け入れていますので、主治医の先生の紹介状をご用意いただき、当ホームページの診療科・各部門の特殊外来(セカンドオピニオン)をご覧頂き、所定の手続きをおとりになり受診してください。さらに、患者さんのご希望や主治医の判断によりがんセンターなどを紹介するなど他施設とも連携して診療を行っています。

 

2.肺炎

軽症な場合には外来治療で軽快することが多いため、当科に入院するのは中等~重症例です。若年者はマイコプラスマ肺炎が多く、高齢者は肺炎球菌などの一般細菌が原因となります。治療開始に当たっては、適切な抗生剤を十分量使用すると共に積極的に原因菌検索を行っています。

 

3.間質性肺炎

血管炎、皮膚筋炎や強皮症などの膠原病に伴う間質性肺炎は皮膚科、リウマチ科と協力しながら診療を行っています。最も頻度の高い特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)は、患者さんの病状により抗線維化薬など、現在有効と考えられている最新の治療を行うよう心がけています。また、急性増悪に対しても受け入れ体制を整えています。病状が進行し呼吸不全になった場合は、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)を開始します。

 

4.喘息

当院外来で安定期の喘息管理を確実に行うことにより、発作を起こして入院する方は減少しています。安定期の治療の主体は吸入ステロイド薬ですが、長時間作動型β2刺激薬(LABA)や抗ロイコトリエン薬などを併用します。喘息発作を起こした方にも救急外来を中心に積極的対応しています。また、生物学的製剤や「気管支サーモプラスティ」という新しい治療法も取り入れております。

 

5.気胸

気胸の治療は肺から漏れ出た空気を体外に出す、胸腔ドレナージによる脱気が主体です。若年者に多い自然気胸の多くは再発しやすく、繰り返した場合や肺の虚脱が高度の場合には外科的治療となるため、当院呼吸器外科に依頼し、手術を行います。当科では、肺気腫や呼吸不全などのため外科的治療が適応とならない患者さんも診療します。初発では胸腔ドレナージで脱気するだけのこともありますが、場合により再発予防のため胸膜癒術を行います。胸腔ドレナージで改善しない場合には、十分に検討をした上で気管支充填術(EWS)も検討しております。

 

6.慢性呼吸不全

肺気腫などの慢性閉塞疾肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)や間質性肺炎などで病状が進み肺機能が障害され十分な酸素交換ができなくなった状態を言います。治療は原因疾患に応じて異なりますが、呼吸不全になった場合は、HOTを始めます。更に呼吸不全が悪化した場合は在宅人工呼吸を行うこともあります。

なお、大変恐縮ですが、当科では禁煙外来は行っておりません。

 

7.悪性胸膜中皮腫

過去に石綿を扱う業務に従事したことのある人が何十年も経ってから原因不明の胸水や胸膜肥厚が現れた場合にこの疾患を疑います。外科的な胸膜生検を行って診断します。治療は主に抗がん剤治療(ペメトレキセドが主体)が行われます。最近は、二次治療として免疫チェックポイント阻害薬も承認され、当科でも使用しております。

 

8.肺血栓塞栓症

急性肺塞栓症(別名エコノミークラス症候群)は死亡率が高く見逃してはならない疾患であり、東日本大震災でも避難所生活を送っている方が何人かこの病気を発症しました。病歴の聴取により疾患を疑い、D-ダイマー測定、心電図、心エコー、造影CT検査を行い確定診断をつけます。直ちに抗凝固療法(広汎例では血栓溶解療法)を開始します。