治療について
主な呼吸器疾患の診療について簡単にご説明します。
1.肺がん
肺がんは非小細胞肺がん(Non-Small Cell Lung Cancer:NSCLC)と小細胞肺がん(Small Cell Lung Cancer:SCLC) に分類されます。非小細胞肺がんは早期のステージI~IIIAでは手術(当院呼吸器外科に依頼)ですが、それよりも進んだ段階(ステージIIIB、IV)では抗がん剤治療や放射線治療(放射線科に依頼)を行います。小細胞肺がんは早期でも手術を行うことは少なく、抗がん剤治療と放射線治療を行います。肺がんは治療が難しく我が国の悪性腫瘍による死因の第1位です。当科では、ステージが進みPSが不良な方や再発した場合でもご本人・ご家族と相談し、可能な限り治療を継続し、QOL改善と生存期間延長に努めています。さらに、緩和ケアチームと協力してがん性疼痛などの症状緩和に努めています。また、当科では肺がんのセカンドオピニオンを受け入れていますので、主治医の先生の紹介状を持参して受診してください。さらに、患者さんのご希望や主治医の判断によりがんセンターなどを紹介するなど他施設とも連携して診療を行っています。
2.肺炎
軽症は外来治療で軽快するが多いため、当科に入院するのは中等~重症例です。若年者はマイコプラスマ肺炎が多く、高齢者は肺炎球菌などの一般細菌が原因となります。治療開始に当たっては、適切な抗生剤を十分量使用すると共に積極的に原因菌検索を行っています。(Empiric Therapy:経験的治療)
3.間質性肺炎
皮膚筋炎や強皮症などの膠原病に伴う間質性肺炎は皮膚科、膠原病科(他院)と協力しながら診療を行っています。最も頻度の高い特発性肺線維症(Idiopathic Pulmonary Fibrosis:IPF)は、患者さんの病状により抗酸化作用をもつ薬剤の吸入、抗線維化作用の薬剤、ステロイドと免疫抑制剤の併用など、現在有効と考えられている最新の治療を行うよう心がけています。また、急性増悪に対しても受け入れ体制を整えています。病状が進行し呼吸不全になった場合は、在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)を開始します。
4.喘息
当院外来で安定期の喘息管理を確実に行うことにより、発作を起こして入院する方は殆どいません。安定期の治療の主体は吸入ステロイド薬ですが、長時間作動型β2刺激薬(LABA)や抗ロイコトリエン薬などを併用します。喘息発作を起こした方にも積極的対応しています。また、1年に数回喘息教室を開催し、喘息発作時の対処法などの啓蒙に努めています。
5.気胸
気胸の多くは外科的治療が適応となるため、当院呼吸器外科に紹介します。当科では、肺気腫や呼吸不全などのため外科的治療が適応とならない患者さんを診療します。初発ではトロッカーを挿入し脱気するだけのこともありますが、多くは再発予防のため胸膜癒術を行います。
6.慢性呼吸不全
肺気腫などの慢性閉塞疾肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:COPD)や間質性肺炎などで病状が進み肺機能が障害され十分な酸素交換ができなくなった状態を言います。治療は原因疾患に応じて異なりますが、呼吸不全になった場合は、HOTを始めます。更に呼吸不全が悪化した場合は在宅人工呼吸を行うこともあります。
7.悪性胸膜中皮腫
過去に石綿を扱う業務に従事したことのある人が何十年も経ってから原因不明の胸水や胸膜肥厚が現れた場合にこの疾患を疑います。外科的な胸膜生検を行って診断します。治療は主に抗がん剤治療が行われます。
8.肺血栓塞栓症
急性肺塞栓症(別名エコノミークラス症候群)は死亡率が高く見逃してはならない疾患であり、今度の東日本大震災でも避難所生活を送っている方が何人かこの病気を発症しました。病歴の聴取により疾患を疑い、D-ダイマー測定、心電図、心エコーなどを行い造影CT検査を行い確定診断をつけます。直ちに抗凝固療法(広汎例では血栓溶解療法)を開始します。