診療・治療について

早期食道癌・胃癌

ごく早期の食道癌・胃癌であれば、内視鏡治療による完全切除が可能です。当院では、先進の治療である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を数多く施行しています。

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(写真)早期胃癌に対するESD
①胃に45mm大の早期胃癌を認めます(矢印)。②内視鏡から小さい電気メスを出して病変を少しずつ剥がしていきます。③約90分で切除することができました。通常、出血や穿孔などの偶発症がなければ3日目から食事を摂ることができ、1週間以内に退院することが可能です。④治療3ヵ月後の内視鏡検査では傷が完全にふさがっています。
胃を切除することがなくそのままの形で残すことができる身体に対して侵襲の少ない治療方法です。

食道静脈瘤

破裂の予防のためには内視鏡治療が有効と言われています。日本肝臓学会肝臓専門医により、内視鏡的硬化療法(EIS)、内視鏡的静脈瘤結紮療法(EVL)が行なわれています。

大腸ポリープ・早期大腸癌

大腸ポリープは良性であっても癌化することがあるため、内視鏡的な切除が望まれます。また、ごく早期の大腸癌は内視鏡治療による完全切除が可能です。通常は内視鏡的粘膜切除術(EMR)で治療しますが、症例によっては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も行なっています。

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(写真)大腸ポリープに対するEMR
①横行結腸に2.5cm大のポリープを認めました。②内視鏡からスネアという金属の輪を出して、通電しながら切除します。③切除した後の傷が見えています。④出血をしないように傷をクリップという処置具で縫縮しました。治療は数分間で終了です。このポリープは一部が癌化していました。
ポリープに茎があるような場合にはこの方法で治療することができます。EMRは通常、出血や穿孔などの偶発症がなければ2日間で退院することが可能です。

D23_p03.jpg(写真)早期大腸癌に対するESD
①S状結腸に35mm大の早期大腸癌を認めます(矢印)。②インジコカルミンという色素を散布すると病変の凹凸がはっきりとして分かりやすくなります。③内視鏡から小さい電気メスを出して病変を少しずつ剥がしていきます。④約90分で切除することができました。
大腸を切除することがなくそのままの形で残すことができる侵襲の少ない治療方法です。大腸のESDは通常、出血や穿孔などの偶発症がなければ4日間で退院が可能です。

胆管の結石症や腫瘍性疾患

特殊な内視鏡を使用する、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)という方法により診断や治療を行ないます。

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(写真)胆管結石に対するERCP
①胆汁の流れ道である胆管に結石がつまって黄疸と胆管炎になっていました。結石を取り出すため内視鏡から小さい電気メスを出して、胆管の出口である十二指腸乳頭部を切開しました。②切開した乳頭部からバスケットという処置具を挿入します。③7mm大の結石が排出されました。
ERCPは膵炎、胆管炎、出血、穿孔などの偶発症が報告されていますので、治療の適応を見極めることが重要です。

検査の時間割

内視鏡部受付月曜日から金曜日まで検査を行なっていますが、完全予約制となっています。受診ご希望の方は、まず内科・外科の外来を受診して下さい。担当医が検査の必要性を判断し、適宜予約を行ないます。