災害対策室の概要

2024年(令和6年)4月から、当院に災害対策室が設置され、活動を開始しました。

 最近日本では、震度5を超える地震や、台風、線状降水帯などの風水害が毎年のように起こっています。大規模な災害では多数の傷病者が発生し、災害拠点病院では特に患者を受け入れる体制を整えなければなりません。さらには、院内だけでなく、他病院、保健所、消防などの外部機関との連携が必要になります。

 「大規模事故や災害時に失敗する原因で最も多いのは情報伝達の不備である」(MIMMS advanced course)という教えがあります。災害時は多くの情報が行き交うため把握しきれなかったり、マンパワー不足や、通信環境が悪くなったりするなど、情報伝達が一層困難な状況となり得ます。

 災害対策室は、災害時に迅速に対応できるよう、外部機関とのホットラインとなり、院内災害対策本部をサポートしていきます。対応者を災害対応の訓練を受けたDMATとすることで、より情報の把握、共有、解決をスムーズにしていきます。災害時だけではなく、平時には、院内災害対応マニュアルの改訂、災害訓練の企画・運営、災害時に必要な医療資機材のメンテナンス、などを行っていきます。

 メンバーは、当院のDMAT隊員17名と、総務課職員4名になります。

船橋市で大規模地震が起こったら?

 2024111610分、能登半島で、M7.6、最大震度7の地震が起きました。当院でもDMATが派遣され、現地で病院や避難所での医療支援や、自治体とともに本部活動支援を行いました。

 市民の皆さまも、もし船橋で大規模地震が起きたらどうなるのか、を考えたことがあるのではないでしょうか。船橋市は年々人口が増え、住宅地も多く、さらに地面の液状化が起きやすい地域があります。もし船橋を震度7が襲ったら、多数の傷病者が発生するのは想像に難くありません。

 船橋市では、千葉県北西部直下地震(震度6強)が起きた場合の船橋市の人的被害を想定しています。

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 示したのは、冬の18時という、1年で最も火器を使っていることが多い季節・時間帯、での想定なので、火災や家屋倒壊が多く、一番厳しい状況下の被害想定です。

 災害時の目標の一つは「防ぎ得た災害死(平時の医療が提供されていたら救命できたと考えられる災害死)」を減らすことです。

 当院は、船橋市の中で唯一の災害拠点病院として、災害時に多数の傷病者を受け入れるために、定期的に訓練を行っています。とはいえ、この傷病者全ての治療にあたるのは困難です。人材、医薬品、医療資機材などを補充したり、患者を被災地外へ搬送したりするようなマネジメントが必要になります。医療センター・災害対策室は、院内の災害対策本部をサポートし、市内の災害協力病院や、外部機関、他県から支援に来たDMATなどと協力し、少しでも「防ぎ得た災害死」をなくせるよう、引き続き精進してまいります。

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外科副部長、災害対策室室長、統括DMAT、災害医療コーディネーター 佐藤やよい