概要

呼吸器外科は1994年の病院増床時に開設されました。
当科では原発性肺癌を中心とした腫瘍性疾患(転移性肺腫瘍、肉腫、良性腫瘍など)、嚢胞性肺疾患(自然気胸、巨大肺嚢胞など)、縦隔腫瘍(胸腺腫、胸腺癌、神経原性腫瘍、嚢胞性疾患など)、胸壁腫瘍、胸膜腫瘍(胸膜中皮腫、孤立性線維性腫瘍など)、外傷(多発肋骨骨折、胸骨骨折、肺損傷など)、感染性疾患などで外科的治療が必要な場合に対応しています。

手術には大きく分けて以下の3通りがあります。

  1. 胸腔鏡下手術...概ね1-4cmのポートと言われる"穴"を2-4ヶ所作成し、カメラの画面のみを見ながら行う方法。最も低侵襲で痛みも少なく、術後からの早い回復が期待できます。
  2. 胸腔鏡補助下手術...10cm程度までの開胸創からカメラの画面と肉眼の両方を見ながら行う方法で、肋骨や筋肉は温存されることが多い。胸腔鏡を併用することで開胸術の創を徐々に狭く小さくしていったもので、安全性を維持したまま低侵襲を追及した術式です。
  3. 開胸術...胸腔鏡は使用しますが原則肉眼のみで行い、開胸創は10cm以上で必要に応じて筋肉や肋骨を切離する方法。肋骨や左房への浸潤がある場合などは、広い視野から安全な手術が可能になります。

当院ではいずれの方法も行っており、安全性と根治性を考慮しながら慎重に術式を選んでいます。早期の肺癌においては胸腔鏡下手術を、リンパ節転移があるような場合は胸腔鏡補助下手術を、周辺臓器への浸潤や再建が必要な場合は開胸術を選択しています。
高齢化に伴い、術前に心疾患や糖尿病などが問題になる患者さんもおりますが、総合病院の機能を活かし、他の診療科との連携をはかりながら集学的治療を行っております。また入院中はクリニカルパス(入院中に行う標準的治療・処置・検査等を記載したスケジュール表)を導入し、診療の標準化と合理化、患者さんの満足度の向上に努めています。
治療を行う際には術前に詳細な説明を行い、患者さんとご家族に治療の目的・方法・効果・危険性を十分に理解していただけるように心掛けています。病状によっては手術だけでなく、抗癌剤治療・放射線治療を加えた集学的治療が必要になることもあり、このような場合は呼吸器内科・放射線治療科・病理診断科と連携し、エビデンスに基づく治療を行っていきます。

主な診療内容

肺癌 早期肺癌に対しては積極的に低侵襲な胸腔鏡下手術を行っています。大きい腫瘍やリンパ節転移がある症例では胸腔鏡補助下手術を、隣接臓器の合併切除や再建が必要な症例は開胸術で行っています。
術前未確診肺腫瘍
(診断がついていない肺腫瘍)
胸腔鏡下肺生検(部分切除や針生検など)を行い、術中迅速病理検査(30分程度)の結果に応じた手術を一期的に行います。
転移性肺腫瘍 各種悪性腫瘍(大腸癌、腎臓癌など)の肺転移に対して外科切除を行っています。
縦隔・胸壁腫瘍 腫瘍の種類・場所・大きさによって、胸腔鏡下手術・胸腔鏡補助下手術・胸骨正中切開などの開胸術で行っています。
胸膜腫瘍 診断困難な胸膜腫瘍も胸腔鏡下に生検を行って確定診断します。胸膜中皮腫では診断した後に集学的治療を検討します。
気胸・嚢胞性肺疾患 基本的に胸腔鏡下手術を行っていますが、高齢者で肺気腫を合併した続発性気胸や巨大肺嚢胞では胸腔鏡補助下手術を行うこともあります。
胸部外傷 交通事故などで肺・肋骨・胸骨などに損傷がある場合、救命センターと連携を取りながら適宜手術を行っています。