概要
近年、悪性腫瘍に対する治療は急速に進歩しており、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬の発展により、治療成績は着実に向上しています。これまで治癒が困難とされてきた進行がんにおいても、長期生存や治癒が期待できる症例がみられるようになってきました。
一方で、がん治療はますます高度化・複雑化しており、腫瘍の組織型や遺伝子変異、PD-L1発現、さらには患者さんの全身状態や生活背景を踏まえた個別化医療(プレシジョンメディシン)が重要となっています。
また、抗がん剤治療にはさまざまな副作用があり、その対応には専門的な知識と経験が不可欠です。特に免疫チェックポイント阻害薬では、従来とは異なる副作用(免疫関連有害事象:irAE)が生じることがあり、適切な早期対応が重要です。
腫瘍内科では、がん薬物療法を専門として、患者さん一人ひとりに最適な治療を選択し、現在の医療で提供可能な最善の治療を行います。
日本におけるがんの現状
日本では依然としてがんは主要な死因であり、罹患数・死亡数ともに高い水準が続いています。一方で、診断技術や治療の進歩により生存率は着実に改善しており、「がんと共に生きる時代」へと変化しています。
当科では、こうした時代背景を踏まえ、治療効果だけでなく生活の質(QOL)も重視した医療を提供しています。
当科の特徴
1.幅広いがん種への対応
肺がんを中心に、以下のような幅広い固形がんの薬物療法を専門的に行っています。
- ・肺がん
- ・大腸がん
- ・胃がん
- ・膵がん・胆道がん
- ・食道がん
- ・腎がん・尿路上皮がん
- ・原発不明がん
- ・軟部肉腫・縦隔腫瘍 など
2.がんゲノム医療・個別化治療
遺伝子パネル検査を含めたがんゲノム医療を活用し、
遺伝子異常に基づいた最適な治療選択を行います。
肺がんでは
EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、RET、NTRK、KRAS、HER2など
多数のドライバー遺伝子異常を同時に評価し、分子標的治療につなげています。
他のがん種においても、
- ・大腸がん:RAS/BRAF、MSI
- ・胃がん:HER2、CLDN18.2
- ・膵がん:BRCA など
バイオマーカーに基づく治療選択を行っています。
3.免疫療法の最適化
免疫チェックポイント阻害薬は多くのがんで標準治療となっています。
- ・肺がん
- ・胃がん・食道がん
- ・大腸がん(MSI-High)
- ・腎がん
- ・肝細胞がん・胆道がん
などで使用され、化学療法との併用によりさらに治療効果が向上しています。
一方で、免疫関連有害事象(肺炎、内分泌障害、腸炎など)への対応が重要であり、当科では各専門診療科と連携し安全な治療体制を構築しています。
4.チーム医療とキャンサーボード
呼吸器内科、呼吸器外科、放射線治療科などと連携し、
キャンサーボードで治療方針を決定します。
患者さんの病状だけでなく、生活背景や希望も重視し、最適な治療を検討します。
5.外来化学療法と生活支援
多くの抗がん剤治療は外来で安全に実施可能です。
当院では外来化学療法室を活用し、生活を維持しながらの治療を支援しています。
最後に
がん治療は日々進歩しており、選択肢は確実に広がっています。
当科では、科学的根拠に基づいた最適な治療と、患者さんに寄り添う医療の両立を目指しています。

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