頻度の少ないがんについて集学的治療を提供する体制

がんの標準的な治療法は、「外科療法(手術)」、「放射線治療」、「化学療法(抗がん剤)」の3つに大別されます。がんが早期に見つかり、転移もなく、局所(発生した場所)にとどまっていれば手術や放射線治療等の局所治療のみが行われることもありますが、それ以外の多くの場合、これらの治療法のいずれか1つをもってがんを十分に治療することは難しくなります。そのような理由から、より高い効果を得るために、二つ以上の治療方法を組み合わせた治療である「集学的治療」が行われています。つまり、転移がある場合や、周囲の組織に浸潤が見られ、転移の可能性がある場合には、がんの種類にもよりますが、手術や放射線療法による局所治療に加え、抗がん剤治療が検討されることになります。

肺癌や胃癌、肝癌、大腸癌、乳癌などのような頻度の高いがん(五大がん)を手術できる病院は多いのですが、その他の頻度の少ないがんの手術ができる病院は決して多くはありません。当院においては、呼吸器外科、消化器外科、乳腺外科のほか、心臓血管外科、脳神経外科、耳鼻咽喉科、産婦人科、泌尿器科、皮膚科などの診療科がそろっており、ほぼすべての臓器に対しての手術が可能です。そのため、五大がんについてはもちろんのこと、その他の頻度の少ないがんについても、各分野の専門医が放射線治療専門医、がん化学療法専門医とチームを組み、治療の初期から戦略的な集学的治療を行うことにより、非常に効果の高い治療を提供できることが可能となっています。