年度別がん登録件数等
生存率統計
対象症例 : 2017年までの院内がん登録症例(手術例・非手術例をすべて含む)
対象部位 : 胃がん、大腸がん、肝がん、肺がん、乳腺がん、膵臓がん、子宮がん、前立腺がん、膀胱がん、腎がん
解析方法 : Kaplan-Meier法( 実測生存率、相対生存率 )
観察期間 : 5年
観察終了日 : 2023年8月1日
予後調査法 : 当院来院歴情報、市町村住民票照会(国立がん研究センター委託事業)、他
病期分類 : UICC分類(TMN分類)
生存率とは
診断から一定期間後に生存している確率のことで、がん医療を評価する重要な指標
のひとつです。通常は治療後5年(あるいは10年)経過した時点の生存率を治癒
の目安としています。信頼性の高い生存率を算定するためには、来院情報だけでな
く生存確認調査(予後調査)が必須です。
実測生存率と相対生存率
実測生存率とは、死因に関係なく全ての死亡を計算に含めた生存率で、がん以外の
死因による死亡も含まれます。がん以外の死因で死亡する可能性に強く影響しうる
要因(年齢、性など)が異なる集団で生存率を比較する場合には、その影響を補正
する必要があります。年齢・性分布・診断年が異なる集団において、がん患者の予
後を比較するために、実測生存率を対象者と同じ年齢・性分布を持つ日本人の期待
生存確率で割ったものを相対生存率といいます。生存率を世界と比較する際も相対
生存率が用いられます。
病期(ステージ)分類とは
がんの進展度は、腫瘍の大きさ(T)、リンパ節転移の有無(N)、遠隔転移の有無(M)
により、(0期)、I期、II期、III期、IV期に分けられ、これによりがんの広がり具合
を示します。数字が多いとより病気が進行した状態を表します。
院内がん登録ではUICC (Union for International Cancer Control国際対がん連合 )
のTMN分類を用いています。一方、各診療科では学会主導で行われている臓器別の
『がん取り扱い規約』による病期分類を用いていることがあり、TMN分類と多少ず
れが生じることがあります。
生存率と治療成績のとらえ方
生存率に影響するのは、年齢、性、初回治療年、外科症例のみか内科症例を含んでい
るのか、手術後30日以内の死亡症例を含んでいるか、検診発見か、検診由来の粘膜が
んを含んでいるか、合併症の有無、病期診断の正確性、術前合併症に対してきちんと治
療が行われたか、初回治療に放射線・化学療法が併用されたか、追跡率が高いか低いか
(予後調査がしっかり行われているか)など、様々な要因が関係します。生存率が高い
施設の方が単純に治療成績が良いとは限りません。生存率が算定された根拠をきちんと
把握することがとても大切になります。
【参考資料】全がん協加盟施設の生存率協同調査生存率Q&A