救急医療を主体とする急性期医療

救急症例を幅広く受け入れ
専門性の高い治療を提供します

救急救命センター センター長・角地祐幸

船橋市立医療センターは、人口約110万人の東葛南部地域を支える三次救急病院として急性期医療に力を入れています。特に急性心筋梗塞、急性脳卒中、多発外傷、敗血症、急性薬物中毒など超急性期治療が必要な疾患に対応し、その後の集中治療までの一貫した診療を提供しているのが特徴です。当院ではER型の救急体制をとっており、救急搬送された患者さんは救急科の専任医師が初療にあたります。そのため迅速な診断が可能になり、幅広い疾患に対応できます。年間に受け入れる救急搬送は約4,400台で、ウォークインの患者さんも含めると約16,000件の救急症例に対応しています(2018年4月1日~2019年3月31日実績)。公立病院として一次~三次まで幅広く患者さんを受け入れる一方で、より高度な医療が求められる重症例や緊急手術を要する救急搬送にしっかりと応じられるよう、地域の二次救急病院との連携強化にも取り組んでいます。

24時間365日体制で
ドクターカーが救急対応します

急性医療

全国に先駆けてドクターカーを導入した当院では、船橋市の医師会の先生方と協力しながら、24時間365日体制で救急要請に対応しています。年間の出動件数は1,600件以上に上ります(2019年1月1日~2019年12月31日実績)。重症外傷の場合は、現場に赴いた医師の判断で院内に「トラウマコード」を発令し、検査部、輸血部、放射線部などの検査スタッフと、手術室の看護師、脳神経外科、外科、整形外科の医師を救急外来に一斉に集めるシステムを立ち上げます。あらかじめCT室を空けておき、輸血の用意を進めるなど、スピードアップを図る取り組みが救命率の向上につながっています。また、一刻を争う急性心筋梗塞や脳卒中の治療では、ドクターカーで測定した心電図のデータを病院に送るほか、病状から急性期脳卒中と判断した場合は、迅速に血管内治療を始められるよう到着前から準備を開始するようにしています。急性期の治療では、いかに早く患者さんを病院に搬送し、いかに早く治療を始めるかが重要です。私たちはそのための努力を日々続けています。

救急科の医師たちが
サブスペシャリティを発揮します

当院では、救急科に所属する9名(2020年4月現在)の医師たちが救急搬送に対応し、適切な診断のもとで各診療科の専門医につなぐ体制をとっています。救急科の医師たちは、麻酔、集中治療、放射線、循環器、外科の専門資格を有するなど、サブスペシャリティに強みがあります。そのため初期診断をつけて、患者さんの状態を落ち着かせてから専門治療につなぐシームレスな治療が可能です。例えば、これまでカテーテル室に移動してから行っていた人工心肺装置の使用を、病院到着後すぐに開始する取り組みを始めたほか、外傷で出血性ショックを引き起こした患者さんに対して、まず救急科で血管内治療を行ってから整形外科での治療に移行するなど、救急科が広い範囲をカバーします。少しでもタイムロスをなくし、スムーズな診療につながるよう、多職種チームが一丸となって効率化に力を入れています。