災害拠点病院としての機能

行政、二次救急病院との連携で
災害発生時の医療体制を支えます

災橋市立医療センター院長・丸山 尚嗣

病院事業管理者・丸山 尚嗣

当院は災害拠点病院として、広域の災害が発生した際に連携の拠点となる体制を整えています。災害時に住民の皆さまの安全を確保するためには、行政や他の医療機関との連携が欠かせません。現在、船橋市や医師会との話し合いにより、新たな災害対策の検討が進められています。これまでは避難所となる小学校に救護所を開設し、地域の医療従事者が集結する計画でしたが、他の地域で起きた災害事例をもとに検討を重ね、二次救急病院の病院前に救護所を作る方針に変更されました。病院前救護所で初療とトリアージを行い、重症の患者さんは拠点病院である当院へと搬送して治療を行います。より多くの方たちを救うために、行政や二次救急病院と緊密な協力体制を築いています。

また、災害時にも病院機能を維持するために、災害に対するBCP(事業継続計画)を作成し、毎年見直しを行っています。非常用の電源として自家発電装置を準備しているほか、病院敷地内に井戸を堀り、地下水の汲み上げも行っています。

災害現場で力を発揮するDMAT
被災地の医療に貢献します

災害拠点病院としての機能

外科副部長、日本DMAT(統括DMAT)・佐藤やよい

当院には、災害時に活躍するDMAT(災害派遣医療チーム)が3チーム(17名)あり、これまで被災地からの要請を受けて現場に出動してきました。派遣の際には、病院は通常の診療を行っているため、交代で出動できるだけの体制を整えておくことが重要です。DMATの活動は、実際に医療を提供する以外に、現地での情報収集や物資調達、施設・機材の管理など、幅広い業務を担当する役割があります。専門的な研修を積んだ統括DMATを中心に、被災の状況を把握しながらDMAT隊全体をまとめ、協力して医療支援を行うための体制作りを行います。

2019年の秋に台風15号が千葉県を直撃した際には、船橋市は被災を免れたため、被害の深刻だった県南地域に当院のDMATと災害派遣ナースを派遣しました。さらに台風19号の際には、東葛南部エリアでの水害が予想されたため、院内にDMATの活動拠点本部を立ちあげ、隊員が行政の担当者と連絡をとりながら情報収集にあたるなど、一つ一つの災害に対して連携体制を構築しています。

実践を想定した防災訓練で
さらに災害に強い病院をめざします

DMAT訓練

東葛南部エリアは、人口が多く住宅が密集している地域です。そのため首都直下地震など、広範囲にわたる大規模災害が発生した場合には、甚大な被害が予想されています。そこで、平時から災害を想定した訓練を定期的に実施し、災害への意識を高めておく必要があります。当院では毎年、防災の日に合わせて行政や医師会、市内災害医療協力病院(9病院)、市立看護学校と合同で防災訓練を行っているほか、DMAT訓練、避難誘導訓練、初期消火訓練を行っています。災害はいつ起こるか分かりませんので、発生した時に病院にいるスタッフがすぐに動けるように、マニュアルの作成や行動を促すためのアクション・カードの充実にも力を入れています。

2027年度末に開設予定の新病院は、免震構造を採用し、これまで以上に災害に強い病院をめざしています。地震や水害、台風などあらゆる災害を想定して、万全の備えができるよう準備を進めています。いざというときに頼りにされる病院として、今後さらに災害への対策を強化してまいります。